大人のバレエ発表会への参加、一人で踊るかクラス全員で踊るか

大人からバレエを始めた方、趣味クラスの方でも発表会に参加することは可能です。教室の方針によりますが、大人でも一人一曲とチャレンジさせてくれるところもあれば、クラス全員で一曲踊りましょうという方針もあるかと思います。私は後者のクラス全員で一曲踊る(合計2曲でした)教室の方針でした。

それぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう。なお、大人趣味クラス全員で一曲を踊るという教室方針の方が多いので、後半は全員で一曲踊る話についての考察です。

一人一曲で踊る場合

良い点

好きな曲を踊れる可能性が高い。自分が主役で楽しい。自分の得意、不得意が分かり、バレエ上達に繋がる。不得意、つまり出来ないことに気付く大きなチャンスです。発表会を気に、その出来ないことにも取り組まざるをえないので、上達につながります。

悪い点(困る、難しい点)

振付を自分一人で覚えないといけない。ミスが目立つ。緊張感が大きい。

クラス全員で一曲を踊る場合

良い点

クラスの一体感が生まれて、仲良くなれる。お互いに出来ない振付を教え合うことになり、詳しくバレエのパを言葉にして考える機会になる(人に自分が行う動きを説明することで、パを細かく確認できます)。万一ミスをしても目立ちにくい。忘れても誰かに教えてもらえる。本番に覚えていることは当然ですが、周囲の動きを確認できるので不安が少ない。

悪い点(困る、難しい点)

誰か一人が出来ないことがあった場合に、その人のレベルに合わせることになる場合がある。特に大人クラスの場合に、仕事で来れない人がいた場合に、振り合わせが遅れることがある。難しい振りやパにチャレンジすることは少ない。

一人で踊るかクラス全員で踊るかの判断材料

正直に言うと、一人で振りを覚えられない場合は、クラス全員で一曲を踊る選択肢が無難です。クラスメートに気軽に質問もでき、プレッシャーが減ります。一曲を一人で踊る場合、全て責任が自分に降りかかります。やりがいも達成感も大きいですが、出来なかった場合に助けてくれる仲間はいません。色々と難点が出てきた場合は、おそらく先生が振りを簡単にして下さるとは思いますが、そうすると、一人でシンプルな振りで一曲を踊ることになります。もしも、これがクラス全員、例えば10人であった場合、例え振りが簡単でも、お客さんへのアピールは大きく変わります。10人が揃って動くと迫力も出ます。

私のお勧めは、初心者(レッスンでパの順番を一回で覚えられないレベル)であれば、複数人で一曲を踊る選択肢が無難だと思います。中級者(レッスンでパの順番に困らない、ピルエットでダブルも回れる)であれば、一人一曲にチャレンジすることで、大きく成長を見込めるかと思います。

大人バレエ発表会の経験

私は教室の方針で、常にクラス全員で一曲を踊っていました。大人趣味クラスは10年以上のバレエ歴の人もいれば、1年ちょっとというバレエ歴の人もいました。途中に個人パートもありましたが、基本は全員での動きになるので、最終的に簡単な振りに収まってしまうことも多々あり、それを不満に感じたこともあります。

ですが、簡単な振りでも完璧にやろうと思うと注意する点はたくさん出てきます。例えば、常に優雅な笑顔でいること。これは訓練が必要です。鏡の前で笑顔の練習をし、踊っている時にも自然な笑顔をキープする必要があります。案外振りが簡単であることによって、笑顔を保つ練習が行いやすかったです。

そして、いかに美しいポーズを保つか。簡単な振りでも、綺麗に見せるために細部へ注意を払うというワンランク上の踊りを目指せます。簡単なススであっても、綺麗な5番で立って、エポールマンの角度も完璧で、とプロのバレリーナ並みの美しさを目指すという目標も立てられます。あっという間に振りを覚えてしまったなら、踊りの完成度を上げていくという目標を立てましょう。

初心者の人は、振りを覚えることに集中しましょう。なるべく周囲をみない。常に周囲に頼ろうと思うと、いつまで立っても思い切って踊ることは出来ません。つまり、いつでも周りに合わせて修正しようという力をセーブした踊りになってしまい、100%で踊れません。(参考記事:100%の力で踊る)「私が主役」と思って踊りましょう。発表会は、振りを覚え込む訓練になり、日ごろの練習のパの順番も頭に入りやすくなりますよ。

バレエ教室の事情

ところで、ここで述べなくても良いことかもしれませんが、先生の立場からすると、大人への指導はなかなかに難しいものです。大人趣味クラスの人が仕事や家庭で忙しい場合には、それが理由でクラスを欠席してしまったり、「もう少しの努力」を求められなかったりします。そのような状況で、一曲の踊りを栄えるように完成させないといけないのです。そうすると、出来ないことを指導するよりも、出来ることをより美しく完成させる指導の方が安全策になります。出来ないことは本人が頑張らない限り出来ません。大人趣味クラスでは、その本人の頑張りが100%期待できない(本人の意思に関係無く、仕事などで出来ない場合もあります)場合はあるのです。趣味でも好きで習ってるんだから、都合をつけたいのですが、そうはならない状況が大人には出てきます。なので、妥協も認めざるを得ないでしょう。

もしも、大人趣味クラスの一人一人に一曲を指導するとなると、それは先生にとっては相当な負担になります。もし、教室が大人であっても、一人一曲の方針であれば、その先生の指導力も覚悟も相当です。ぜひ、先生の期待に応えられるよう、頑張って下さい。(もちろん、クラス全体で一曲の場合も、先生の指導は大変ですよ。)


発表会、参加すると決めたら、それをバレエ上達の機会と捉え、どん欲に取り組みましょう。特に中上級者の方にとって振りが簡単に思えてしまう場合、そこに不満を覚えて不燃焼になるのでは無く、コールドの中に混ざるエトワールと思って踊るくらいの気持ちでも良いかもしれません。

写真 出典:Bibliothèque et Archives Canada, e008439033

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